【プロが解説】紅茶の蒸らし時間の目安は?ホットとアイスでは変わる?

「紅茶の蒸らし時間って、どのくらいにすればいいの?種類によって変わるの?」
「紅茶が渋くなっちゃった…上手な淹れ方が知りたいなぁ」
「ホットティーとアイスティーでは蒸らす時間って違うの?」
紅茶の蒸らし時間について、このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
一口に「紅茶」と言っても数多くの種類がありますし、さらにホットティーとアイスティーでは、飲む時点での温度が全く異なりますよね。
そのため、どの紅茶も全て同じ手順で作っていいのか、いまいち自信が持てない方もいるかもしれません。
紅茶を美味しく淹れるのは手間がかかって難しいと思っている方もいるかもしれませんが、実はポイントをおさえて淹れれば、シンプルな手順でもしっかりと味と香りが引き出されます。紅茶の風味を引き立たせるポイントはいくつかありますが、今回はその中の一つである「蒸らし方」について、紅茶の卸業者をしているプロの視点からお伝えしていきますね!
この記事では
- 紅茶の蒸らし時間の基本
- 紅茶のタイプ別蒸らし時間
- シーンに合った紅茶の作り方
について解説しています。
読んでいただくと、紅茶を美味しく淹れるコツが分かり、家庭や飲食店でも本格的な味をお楽しみいただけるようになるはずです。
また、飲食店様の形態に合わせた作り方も簡単に紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください!
これだけはおさえる!紅茶の蒸らし時間の基本
紅茶を蒸らすときは、必ず次の基本をおさえておきましょう。
- 一定時間蒸らす
- 味や濃さを変える場合も蒸らし時間は一定にする
紅茶はお湯を注いでから一定時間蒸らすことで、茶葉の持つ味や香りが引き出され、本来の美味しさが楽しめます。
お湯が色づいたからといって十分な時間蒸らしていないものは風味が出ていません。逆に、蒸し過ぎたものは渋味や雑味が一緒に出てしまうため、どちらも本来の美味しさを味わうことができません。
そのため、美味しい紅茶を作るためには、必ずお湯を注いでから蒸らす時間をとるようにしましょう。
ホットティーやアイスティー、ミルクティーなど飲む温度やレシピが変わる場合でも、基本的に蒸し時間は変えずに淹れます。
紅茶の濃さを変えたい場合は、蒸らし時間を変えずにお湯の量を減らすと、どんな状態でも味や香りがしっかり保たれるようになり、茶葉の良さを活かすことができますよ。
強い味がお好みの場合は、通常の1.5倍〜2倍の茶葉を入れるのも良いと思います。
簡単に、ここでは美味しい紅茶を淹れる方法を紹介いたします。
<紅茶の淹れ方6ステップ>
- 熱湯で入れる
- ポットやカップを温めておく
- ポットに茶葉を入れる
- ポットにお湯を注ぐ
- 茶葉を蒸らす
- カップに注ぐ
具体的な手順は、こちらの記事を参考にしてください。蒸らし時間以外におさえたいポイントについても、詳しく解説しています。
【プロが解説】おいしい紅茶のいれ方6ステップ!重要なポイントは3つだけ【手軽にできる】
蒸らす時間は、茶葉の大きさや種類によって変わってきます。
ただし、茶葉一つ一つに合わせて蒸らし時間を変えるのは大変なので、ここでは茶葉の大まかな特徴から3つに分類して、目安を解説しています。
お手持ちの紅茶と見比べながら、参考にしてください。
大きめの茶葉は3分
茶葉の大きいものは、3分を目安に蒸らします。
例えば、茶葉が細長いものや茶葉をカットせずにそのまま加工されたものなど、10mm程度の大きさの茶葉が当てはまります。
ただし味が強い茶葉の場合は、蒸らし時間を2分くらいに留めておいた方が飲みやすいものもあるので、お好みで合わせてください。
小さめの茶葉は2分
茶葉を小さくカットしたものや茶葉が小さいものは、2分が蒸らし時間の目安です。
具体的には、1〜3mm程度あるものが小さい茶葉に該当します。
ただし、ミルクティーを作る場合は、小さめの茶葉でも蒸らし時間を3分にするのがおすすめ。紅茶の香りや風味がしっかり出て、ミルクのコクに負けなくなるため、お好みで調節してみてください。
ハーブティーは3分
ハーブティーの場合は、蒸らし時間は3分が目安です。
ハーブティーは、紅茶と違って渋味が少なく、長く蒸らした方が美味しいとも言われております。
またハーブが大きいものや固いものは、5分近くじっくり時間をかけて蒸らしてもいいでしょう。
なお、大きめのハーブはあらかじめ細かくきざんでおくと、短い蒸らし時間で済むのでサッと作って飲みたい方にはおすすめです。
あまり時間に神経質になる必要はありませんが、蒸らし時間が足りないと風味が足りない、茶葉を入れっぱなしにしていると雑味が強くなるというのを念頭におきながら、蒸らし時間を計るといいですよ。
また、後半に紅茶の淹れ方でよくいただくご質問を紹介しているので、合わせて参考にしてくださいね。
アイスティーの作り方と抽出時間
アイスティーもお湯から作る際は、蒸らし時間はホットティーと同じです。
そのため1杯ずつ作る場合は、基本的にホットティーと同じ手順で作ります。
一方、アイスティーには弊社を含めて大容量タイプのアイス専用ティーバッグも多く売られています。
紅茶は本来100℃前後の熱湯で淹れる必要があるのに対し、専用ティーバッグは水道水のままでも作れる手軽さが特徴で、まとまった量の作り置きもしやすいです。
ここでは、基本的なアイスティー1杯分の作り方や、専用ティーバッグを使った水出しやお湯出しでの作り方をご紹介いたします。
同じアイスティーでも、それぞれに特徴やメリット、デメリットがあるので、どの作り方が向いているか、ご自分に合ったものを選びましょう。
なお、この記事でのアイスティーの作り方は、こちらの動画でも解説しているので、お好きな方でご確認ください。(約7分)
アイスティーの基本的な作り方
1杯分だけ作る場合は、蒸し時間を変えずにお湯の量を調整して作ります。
アイスティーをご自宅で楽しみたい方や、1杯ずつお客様へ作りたてをご提供したい場合におすすめです。
<作り方>
- ポットに、ティーカップ1杯分の茶葉を入れる
- 通常のホットティーの半量を目安にお湯を注ぐ
- ホットティーと同じ時間で蒸らす
- たっぷりの氷を入れたグラスに蒸らした紅茶を注ぎ、急冷させながら飲みやすい濃さにする
1杯ずつ淹れる場合、茶葉はホットティーと同じものを使います。
専用ティーバッグと比べると手間はかかりますが、使える茶葉の種類が多いため、さまざまな味をお楽しみいただけるのがメリットです。
水出しでの作り置き
水出しとは、茶葉を水で抽出して作るもっともシンプルな方法です。
ホットと比べて抽出までに時間がかかりますが、手間がかからないため、忙しいときやお店の仕込みの合間にも作りやすいメリットがあります。
<作り方>
- ボトルにティーバッグを入れる
- 水を入れる
- 蓋をして90分以上置く
水出ししたアイスティーは、お湯出しと比べて紅茶が明るい色をしているのが特徴です。
また、時間をかけてゆっくり抽出するため、長時間ティーバッグを入れていても雑味が出にくいのがメリット。翌日もマイルドで飲みやすいので、前日の夜に仕込んでおいても美味しくいただけます。
またグラスに注いだ前後は、こまめに冷蔵庫に保存していただくと、長く美味しさが保たれますよ。
お湯出しでの作り置き
お湯出しは、専用ティーバッグを使い、ホットティーのように熱湯で抽出させる方法です。
水出しと比べると、茶葉の色や味がしっかり出る特徴があります。
<作り方>
- ボトルにティーバッグを入れる
- 熱湯を入れる
- 蓋をしてホットティーと同じ時間で蒸らす
- ティーバッグを取り出す
抽出時間はホットティーと同じですが、抽出後は飲みやすい温度まで冷ます必要があるため、飲み頃になるまでに時間がかかるデメリットがあります。
そこで、もっと短時間で作りたい場合は、次のように手順を変えてみてください。
- 熱湯の量を1/3〜1/4にして、蒸らす
- 蒸らしたら残りの水(常温)を入れ、ティーバッグを取り出す
こうするとすぐに人肌温度まで紅茶が冷めるので、そのまま冷蔵庫に入れたり、氷で冷やして飲んだりできるようになります。
すぐに飲める状態にしたいときに、試してみてください。
<注意点>
お湯出ししたアイスティーは、冷めてくると全体的に濁った状態になる(クリームダウン)ことがあります。
クリームダウンは、紅茶に含まれるタンニンとカフェインの結合によって起こるもので、熱い紅茶を冷ましたときに起こりやすいと言われています。
残念ながらクリームダウンを完全に防ぐ方法や濁りを取り除く方法はありませんが、味自体は本来のアイスティーと変わりません。
ただし濁ってしまうと見た目が良くないので、飲食店様などご提供用として不安がある方は、水出しを選ばれた方が無難でしょう。
なお、ハーブにはクリームダウンの原因となるタンニンが含まれていないため、アイスハーブティーなら基本的に濁ることはありません。
よくあるご質問
最後に、紅茶を淹れる際によくいただくご質問をいくつか紹介いたします。
知らなかったことや、ついやってしまっていることもあるかも知れないので、覚えておくと今よりも紅茶を美味しくいただけるようになりますよ!
紅茶を蒸らしすぎてしまったときの対処法はある?
蒸らしすぎた紅茶は渋味が強くでているため、本来の香りや風味とは異なっている可能性が高いです。
ご自分で飲む場合はお湯を足せばやや飲みやすくはなりますが、お客様へご提供される場合はおすすめの紅茶を楽しんでいただくためにも、再度淹れ直した方がいいでしょう。
なお、紅茶を注いだ後ティーポットに茶葉が残っていると、雑味が出やすくなります。
紅茶用のティーポットは2杯以上作れる容量のものが多く、1杯目を入れた後そのままにしていると、抽出が続いて2杯目以降の風味が変わってしまうからです。
できれば別のカップなどに移してティーポットを空にしていただくと、1杯目と同じ風味を楽しむことができます。
ハーブティーの場合は紅茶よりも渋味が少ないので、少し長めに蒸らしても大きな問題はありません。
ティーバッグと茶こしで味は違う?
実は、ティーバッグも茶こしも、味はほとんど変わりません。
茶こしを使った方が美味しいという意見もありますが、その理由は茶こしで紅茶を入れたほうが、ポットの中で茶葉が大きく舞いやすい(ジャンピング)ため、茶葉の持つ香りや風味がよく出ると考えられているからです。
しかし最近では、ティーバッグタイプの茶葉でもジャンピングしやすいよう立体的なテトラ型に作られているものが多く、ティーバッグでも十分に風味が引き出されます。
品質の良い茶葉は、ティーバッグでも茶こしでもしっかり風味が出て、美味しくいただくことができます。
また、ティーバッグタイプは茶こしと違って、計量の必要がない、後片づけの手間がかからないというメリットがあるので、お好みや使いやすさに合わせてお選びいただいて大丈夫です。
紅茶を2回以上蒸らして抽出してもいいの?
紅茶は一度蒸らすと味や香りをしっかり出すため、蒸らした後の茶葉は出がらし状態になっています。
多少色が出るので、2回目も味が抽出されているように見えるかもしれませんが、実際は一度蒸した茶葉からは本来の風味は抜け落ちてしまっているので、2回以上は蒸らさないであげてください。
茶葉が本来持っている香りや味を存分に楽しむためにも、茶葉は一回きりの利用をおすすめいたします。
紅茶は蒸し時間を守れば風味が引き立つ
紅茶は味や種類が非常に豊富ですが、あまり難しく考えたり、一つ一つに細かく合わせて作り方を変える必要はありません。
蒸らし時間などのおさえるべきポイントを守っていれば、シンプルな手順でも紅茶の風味がちゃんと引き立ちます。
- ホットもアイスも蒸らし時間は同じ
- 大きい茶葉やハーブは3分を目安に
- 小さい茶葉は2分を目安に
- ミルクティーは小さい茶葉でも3分
紅茶を蒸らすときは、これらの目安を踏まえながら、紅茶を味わってみてください。
きっと、それぞれの茶葉の良さを感じることができると思います。
ただし、味の好みは人それぞれ異なります。
実際に目安どおりに淹れてみた紅茶の味が「もう少し飲みやすい方がいいな」「濃くした方がミルクと合う」と感じることもあるでしょう。
その際は、お湯の量を調節しながら、ご自分の好きな味加減を見つけてみてください。
紅茶の風味を引き立たせるためのポイントも重要ですが、ご自分が「これが美味しい!」と感じられるかどうかが最も大切です。
ティータイムを豊かな時間にし、紅茶ライフを楽しんでいただくためにも、自分が美味しいと感じる作り方や飲み方を見つけてみてくださいね。