【プロが解説】紅茶の最適温度とは?美味しく淹れるコツと注意点
「紅茶の温度って、実はどのくらいがベストなんだろう?」
「水出し用もあるし、温度が低くても美味しいのかな」
「温度以外に気をつけることってあるの?」
紅茶を美味しく淹れるには、ベストな温度があります。
温度が十分でないと、風味をしっかりと引き出すことはできません。
しかしそう言われても、紅茶は茶葉のタイプから水出しできるティーバッグまでラインナップが多様なため、実際どの温度で淹れるのがいいのか、ちょっと迷ってしまいますよね。
そこでこの記事では、紅茶卸販売や飲食店様へのサポートをさせていただいた知見をもとに、次について解説しています。
- 紅茶に最適な温度と水
- ベストな温度をキープする紅茶の淹れ方
- 温度と一緒に気をつけるべきポイント
紅茶は水出し用を除いて、抽出に適した温度は全て同じです。
また淹れる瞬間だけでなく、抽出からカップに注ぐまでの温度をキープすることで、味や香りを引き出しやすくなります。
さらに、温度と共にいくつかのポイントをおさえると、いつもの紅茶が今までと違う味わいに感じられるはずです。
コツはご自宅でできるシンプルなものなので、ぜひ真似して茶葉本来の味を楽しんでくださいね。
意外と知らない!最適な紅茶の温度と水の選び方
紅茶を淹れるときは、お湯の温度と水の質がとても重要になります。
お湯の温度は茶葉の味を引き出す上で欠かせませんし、水の質は紅茶の風味や仕上がりを左右するからです。
そう聞くと、専用器具やこだわりのある水が必要なのでは…と思われるかもしれませんが、全くそんなことはありません。
お手元にある道具で誰でも手軽にできるので、覚えておいてくださいね。
お湯の温度は100℃が目安
紅茶を淹れる温度は、沸騰した温度(100℃)が目安です。
厳密に言うと、沸騰してお湯のボコボコした状態から少し落ち着いたころがベストでしょう。
やかんで沸かす場合は、沸騰して火を止めてから10秒経ったタイミングを目安にしてみてください。
ウォーターサーバーや電気ポットの中には、100℃まで達しないものもありますので、できるだけ近い温度で沸かして淹れるといいでしょう。
ぬるいお湯で紅茶を抽出してしまうと、成分をしっかり抽出できず、香りが弱くなります。
茶葉を十分に抽出させるには、少なくとも90℃以上の温度のお湯をお使いください。
紅茶に合う水の選び方
紅茶を淹れる水は、実は水道水で大丈夫です。
意外に思われるかもしれませんが、新鮮な水道水には空気が多く含まれており、茶葉を抽出するのに適しています。
さらに、水道水は保存性が高いのもおすすめする理由です。
水道水には、人体や味、においに影響のない範囲で微量の塩素が含まれています。
不安に感じられるかもしれませんが、これは水中の病原菌や雑菌を消毒するために定められているものです。
衛生的な水道水で淹れた紅茶は、傷みにくいのがメリットです。
水出しアイスティーなら、常温でじっくり抽出させても菌が繁殖することなく、美味しくできあがります。
もし、水道水のカルキ臭が気になるときは、浄水器を使う、あるいは一度沸騰させると臭いが飛びますのでお試しください。
また、ミネラルウォーターを使う場合は、硬度をチェックしてお選びいただくといいでしょう。
硬度とは、水に含まれたミネラル量を表し、ミネラル量が多いものを硬水、少ないものを軟水と分類します。
日本のミネラルウォーターや水道水はほとんどが軟水なのに対し、ヨーロッパなど北米地域の水は硬水が主流です。
硬水と軟水では風味や口当たりが異なり、料理や飲料の仕上がりにも影響を与えます。
軟水に慣れている日本人にとって、硬度の高い水で抽出した紅茶は違和感を感じやすいので、ご注意ください。
ただし、ミルクティーの本場として知られるイギリスは硬水ですので、本格的な味に挑戦するなら硬水を試してみてもいいでしょう。
低温のお湯を入れてしまったら?
冒頭でのお話のとおり、お湯の温度が90℃以上に達していないと茶葉が十分に抽出されず、本来の味や香りを出すことができません。
お湯を注いだ瞬間に低温に気がついた場合は、すぐに茶葉を取り出して新しく熱湯を注ぎ直せば、対処できるでしょう。
その際は、しっかり茶葉の色が出ているかや、香りが立っているかを確認する必要があります。
ご自分の紅茶であればそのような形で問題ないと思いますが、お客様へのご提供するものの場合は、安心して美味しいものをお届けするためにも、できるだけ注ぐ前に熱湯かご確認ください。
お湯の温度をキープさせる紅茶の淹れ方
水を沸かしてベストな温度にしたら、紅茶を飲むまで温度が下がらないようにする工夫が大切です。
実は、茶葉の入ったポットにお湯を注いでカップに移すだけでは、簡単に温度が下がってしまい、紅茶の風味が弱くなってしまいます。
お湯の温度を下げずに紅茶を淹れるには、次の5つのステップで行います。
- ポットを温める
- ポットのお湯をカップに移して温める
- ポットに茶葉を注ぐ
- 茶葉を蒸らす
- カップのお湯を捨てて紅茶を注ぐ
ちょっとした一手間で淹れた紅茶は、お湯の温度が下がりにくくなりますので、お試しください。
1. ポットを温める
まず、紅茶を淹れる前に、ポットを温めておきましょう。
沸騰したお湯は、常温のポットに注ぐだけで10℃近く下がるため、茶葉の抽出に影響を与えてしまいます。
そこで、お湯が沸いたらまず茶葉を入れる前にポットにお湯を注ぎ、ポットの温度を上げておきましょう。
お湯の量は、並々と入れる必要はありません。
2. ポットのお湯をカップに移して温める
ポットの温度が上がったら、カップも同様にして温めます。
最初のステップで、ポットとカップ同時にお湯を注いでいただいても構いませんが、ポットで温めたお湯をカップ用に再利用しても大丈夫です。
ポットもカップも、温めたあとはお湯を捨てるのを忘れないようにしてくださいね。
3. ポットに茶葉を注ぐ
空になったポットに、茶葉やティーバッグを入れ、熱湯を注ぎます。
注ぐ際は、少し勢いをつけてお湯を注ぐと、茶葉が舞いやすくなり(ジャンピング)味や風味がしっかり出るので、火傷に注意しながら注いでください。
茶葉の目安量については、こちらで詳しく解説しているので、合わせて参考にしてくださいね。
4. 茶葉を蒸らす
ポットに蓋をし、茶葉を蒸らします。
茶葉の特徴に合わせて次のように蒸らし時間を調節すると、それぞれの風味が引き出せますよ。
<蒸らし時間の目安>
- 大きめの茶葉:3分
- 小さめの茶葉:2分
- ハーブ:3分
蒸らしすぎると苦味や雑味が一緒に出て美味しくなくなってしまうので、ご注意ください。
5. カップのお湯を捨てて、紅茶を注ぐ
温めておいたカップのお湯を捨て、淹れた紅茶をカップに注ぎます。
カップを温めておくと、注いでも紅茶の温度が下がりにくいため、飲む際に湯気と一緒に茶葉の香りを感じやすくなります。
紅茶を保温するときの注意点
ポットに残った紅茶を保温するときは、次の点にご注意ください。
- 茶葉は先に取り出しておく
- 電気タイプの保温ポットは避ける
ポットに残った紅茶はそのまま茶葉から抽出が続いており、苦味が出てしまいます。
ポットのまま保存せず、カップか保温用ポットに移すようにしましょう。
また電気タイプの保温ポットは風味が飛んでしまうため、美味しくいただくことができません。
できれば、ステンレスや魔法瓶タイプの保温ポットをお選びいただくといいでしょう。
紅茶を美味しく淹れるポイント
紅茶を美味しく淹れるには、ポットに注いでから飲むまでの温度管理のほかにも、美味しさを引き出す3つのポイントがあります。
- 蒸らし時間
- 茶葉の量
- 保存方法
これらを意識すると、紅茶が長く美味しく楽しめるようになりますよ。
一つ一つは難しくないので、紅茶を淹れる際に振り返りながら取り入れてみてくださいね。
蒸らし時間をとる
茶葉の美味しさを引き出すには、茶葉を熱湯で一定時間蒸らす必要があります。
蒸らし過ぎた紅茶は渋味が出過ぎてしまいますし、蒸らし時間の足りない紅茶は味や香りが十分に引き出されず、どちらも美味しくありません。
ストレートティを濃くいれたり、味をマイルドにしたりしたいときは、蒸らし時間ではなく、お湯の量を変えて紅茶の濃度を調整するようにしましょう。ミルクティの場合は、少し蒸らし時間を長くしても問題ありません。
紅茶の蒸らし時間については、こちらでも詳しく紹介しているので、合わせてご覧ください。
【プロが解説】紅茶の蒸らし時間の目安は?ホットとアイスでは変わる?
茶葉の量を計る
茶葉の量は、カップ1杯(150〜180cc)に対して、2〜3gが目安です。
できれば0.1g単位のデジタルスケールを使うのが理想ですが、なければティースプーンで手軽に計ることもできます。
ティースプーンで計量する際は、次のようにするといいでしょう。
<ティースプーンで計る場合のポイント>
- カップ1杯あたりスプーン1さじ(普通盛り)が目安
- 細かい茶葉はやや少なめに盛る(比重が重く、少量でも大きい茶葉と同じ重さになるため)
- 大きい茶葉は少し多めに盛る
スプーンを都度変えてしまうと、適切な量が分かりづらくなってしまうので、計量は毎回同じスプーンを使うのがベストです。
また、計量して淹れた紅茶は、必ず試飲して味を確かめるようにしてください。
回数を重ねるうちに、ベストな茶葉の量が分かるようになります。
空気に触れないよう保存する
茶葉の美味しさや風味を出すには、使ったら空気に触れないように密閉して保存しましょう。
紅茶は淹れ方だけでなく、ふだんからの保管も茶葉の品質に大きく関わります。
使ったあと袋が閉じていないものや、空気に触れやすい状態で置いてしまうと、茶葉の劣化が早まり美味しさが落ちやすいです。
蓋のついたステンレス缶やジッパー付きの袋に入れて、できるだけ空気に触れないようにすると、開封後も風味が落ちにくくなりますよ。
また、茶葉は常温で長く保存できますが、次の場所は避けるようにしてください。
<避けたい場所>
- 直射日光が当たる場所
- 湿度の高い場所
- においが強いもののそば
こういった場所は、茶葉の劣化を早める、味や色が抜ける、カビが生える原因となるので、気をつけるようにしましょう。
なお、冷蔵庫や冷凍庫で保存していただいても問題ありませんが、何度も出し入れを繰り返したり、取り出してから常温で放置していると、保存袋内に水滴や霜がつきやすくなります。
付着した水分は茶葉の劣化を早める原因になるので、空気に触れないように密閉する、そして使ったらすぐに元の場所に戻すようにしてください。
茶葉は比較的長持ちするため、実は賞味期限が切れてもかなり長期間、美味しく飲むことができます。
ご自宅用であれば、カビなどが生えていない限り、賞味期限切れでも大きな問題はないでしょう。
飲食店様のようなご提供用の場合は、賞味期限管理は必要ですが、期限に関わらず正しく保存することが美味しい紅茶を提供するポイントになりますので、ご注意ください。
私どもが日々茶葉に触れながら感じることとして、茶葉は時間が経ったものよりも、やはり新鮮な方が美味しいことが多いです。
それでもしっかりと保存をしていれば、時間が経っても美味しさはかなり保てますので、ぜひ参考にしてくださいね。
保存方法についてはこちらの動画でも詳しく解説しておりますので、合わせてご覧ください。
紅茶の風味を引き出すには温度管理が大切
香り高い紅茶を淹れるには、お湯の温度がとても大事です。
ただし、最初のお湯さえしっかり沸騰温度に達していれば、美味しいというわけではありません。
- 水の硬度に注意(水道水でOK)
- 沸かしてからカップに注ぐまで温度を下げない
- 一定時間はしっかり蒸らす
- 茶葉は適量にする
- 新鮮なうちに正しく保存する
これらのポイントをおさえると、茶葉が抽出されて味と香りがしっかり出るようになります。
記事を参考にして、ご自分で淹れた紅茶が今までと変わるかお試しください。
全てのポイントを一度に取り入れるのが難しければ、少しずつやりやすいところからで構いません。
何度も繰り返しているうちに、自然と美味しい紅茶が淹れられるようになりますので、楽しみながらティータイムづくりをしてくださいね。
<参考URL>