【プロが解説】飲食店メニューに入れるべき紅茶は?選ぶポイントを徹底解説!

【プロが解説】飲食店メニューに入れるべき紅茶は?選ぶポイントを徹底解説!

メニューに入れるべき紅茶は?選ぶ時のポイントをお茶のプロが解説!

紅茶は、カフェのメニューに入れなければならない必須の飲料の一つです。

でも、どの紅茶を入れればいいかというのは、意外にあまり知られていません。

よく言われるのは、「紅茶の専門家じゃないから何を選んでいいか分かりません」という困惑した声です。
「茶葉の種類や特性に詳しくないので、好きなものを選んでいいと言われても逆に困ってしまう・・・」という方も、意外と大勢いらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、20年以上、2000店舗以上の飲食店様のお茶メニューを提案してきた弊社が、お茶メニューにおいてオススメの種類や選び方のコツをお伝えできればと思います。

今回は数あるお茶の中から、特に紅茶系統に絞ってお話をしていきたいと思います。
そのほかのハーブに関しては、次回の記事でお知らせできればと思います。

■目次

さて、まずは紅茶メニューの選び方のコツから、お話していきます。

紅茶に限らずお茶メニューを選ぶ時の最初のポイントですが、まずは可能であれば、できるだけ多くの種類のお茶を置くことがおすすめです。どのぐらいの種類を使用できるかによって、かなり選択を左右されます。

簡単に言えば、たとえば1種類しかお茶を置けないとしたら、その1種類でミルクやレモンなどさまざまな飲み方に対応することができる茶葉にしなければいけません。
また近年、お客様の好みもかなり幅広くなってきている中で、どうしても選択肢の幅が狭まってしまうデメリットもあります。

それほど沢山でなくても、数種類は置くことができるのであれば、少しバリエーション豊かにメニューを構築することが可能になります。

ただし、紅茶だけのメニューにすることは、昨今ではあまり良い選択にはなりません。ハーブはもちろんのこと、日本茶や中国茶など他のカテゴリーのお茶も少し入れて置くのが近年の飲食店のトレンドでもあり、売上げアップのポイントにもなっています。

:こちらに関しては、他の記事や動画も参考になさっていただければと思います。

しかしそうは言っても、やはり「お茶だけをたくさん置くことは現実的に難しい・・・」という飲食店様も多いかもしれません。
それでは限られた種類しか紅茶を置けない場合には、どうしたらよいのでしょうか。その場合のポイントについて、これからお話していきます。

紅茶メニューを考える時、我々プロが考えるのは、一番メインを張る紅茶が各飲み方のバリエーションに対応できるかどうかです。
主に以下の4種類の飲み方です。

  1. ストレート
  2. ミルク
  3. 砂糖
  4. レモン

砂糖に関しては、ミルクやレモンと一緒に使われる場合もありますね。(ミルクとレモンを一緒に入れられる方は少ないかと思います。)

続いてのポイントは、なかなか重要な部分なのですが自分たちが提供する方法にあった形態のものがあるかどうかです。これは、例えばティーバッグでお客様に提供していた場合、たまたまない場合、どのように対処するかです。

後述しますが、たとえばセイロンティーアールグレイの場合は、ミルクにもレモンにも合うので、その1種類があれば上記全ての飲み方に対応することができます。
 
アッサムは、そのまま淹れるとストレートで飲むにはやや強すぎてしまいますが、g数や蒸らし時間(ティーバッグの場合)を減らすことで、ストレートにちょうど良い濃さに調整が可能です。
 
しかし、ダージリンのようなストレート向きのお茶が1種類だけとなりますと、ミルクやレモンに合わせての提供が難しくなってしまいます。「ダージリンしか無い」という時は、場合によってはもうストレート提供に限る形でも良いかと思います。

したがって、紅茶を限られた種類しか置けない場合には、この4種類の飲み方(ストレート・ミルク・佐藤・紅茶)すべてにオールマイティに合う紅茶か、または淹れ方を調整することで合わせることができる紅茶という視点から選ぶことがおすすめです。

上記の考えのもと、いくつか代表的な紅茶を挙げて、それぞれの特徴や最適な飲み方についてお話していきたいと思います。

爽やかで甘い風味としっかりした味わいの、紅茶好きにとっての人気ナンバーワン紅茶インド・ダージリン地方が産地です。ぜひメニューに加えてほしい種類です。

ただし、美味しくて人気の高いダージリンティーですが、限られた種類しか置けない場合には少し考え込まなければなりません。
ストレートでは最高に美味しい風味のダージリンなのですが、ミルクティーにした場合にはミルクに負けてしまい、せっかくの持ち味を失ってしまうからです。
(ダージリンの中で比較的味の強い秋摘みのオータムナルや、細かい大きさで濃くでるBOPと呼ばれる小さい茶葉でも、ミルクではあまり美味しくは提供できません。)
なまじその紅茶自体が美味しいがために、レモンやミルクを入れると、もともとの風味を殺すことになってしまうのですね。

もちろん嗜好品なのでどうやって飲んでも良いのですが、一般的にミルクやレモンには合わないので美味しい飲み物を提供できていない事になってしまいます。
できればそれはお店としても避けたいところでしょう。

飲み方はストレートを提案して、それでもお客様がミルクを入れたい場合はミルクを提供するという形を取るのもよいかもしれません。

セイロンティーはスリランカ産の紅茶で、いわゆる「THE・紅茶」という印象が強い茶葉です。
主にディンブラ(ディンブラ地方の爽やかな紅茶)やキャンディー(キャンディー地域のバランスの取れた風味の紅茶)、及びブレンドティーの事として解説していきます。
(多少産地によって性格が違いますので、今回は特殊な風味のセイロンティーは除外しています。セイロン・ウバに関しても風味が特殊なので後述致します。)

セイロンティーは、オールマイティーに使用できる優秀な風味の紅茶です。いわゆる一般的にイメージされる紅茶の味に近く、セイロンティーが苦手という方は見たことがありません。
砂糖を入れても、ミルクを入れても、レモンを入れても、風味をそれほど損なうことがありません。フルーツをいれるのもありですね。
モーニング、ランチ、ティータイム、ディナーと時間を選ばず飲める便利な紅茶でもあります。


インドのアッサム地方産の、有名な紅茶です。
ミルクティーといえば「アッサム」という方も多く、なんといってもミルクに負けないコクがあるのが特徴。香りはそれほど強くないですが、味の強さは折り紙つきです。ロイヤルミルクティーやチャイに使われる事も多い紅茶ですね。
同じインドの紅茶でも、ダージリンとは全く違う位置づけの風味となります。

ミルクティーに大変合うアッサムですが、その反面、規定のg数と蒸らし時間を淹れた場合ストレートで飲むにはやや濃く出過ぎてしまう点に注意が必要です。アッサムなどの味の強いものを1種類だけ置く場合、提供する際の工夫としては、ストレートで提供したい場合はg数、ティーバッグしかない場合は蒸らし時間を、規定よりも少し減らすことで調整が可能です。


ホットでもアイスでも人気ナンバーワンの紅茶です。
ストレートでも美味しいですし、砂糖を入れても美味しく飲めると思います。
ベルガモットという柑橘系の果物の香りの紅茶なのですが、面白いことにレモンにも合います。
しかしミルクティーに関しては、実は判断が難しい所があります。

なぜかというと、アールグレイとは、先程も申し上げたように紅茶にベルガモットの香料をつけたものの総称なのですが、香料をつける為の原料茶には特に決まりはありません。
ですので、そのアールグレイの原料茶が何かによってミルクとの相性が決まります。
例えばセイロンを原料茶にした場合はミルクにしても大丈夫ですが、ダージリンを原料茶にした場合には味が薄くなってしまう、といったことが起こるんですね。(ただ、あまりダージリンを原料に使用することはないと思いますので、ほぼ問題なく使えるかと思います。)

先ほどの項目の説明を簡単にまとめたものが、下の表になります。
こうして見るとやはり、セイロンティーやアールグレイはバランスが良いですね。

しかし、ダージリンの薫り高いストレート(これこそ紅茶の愉しみ!と言っても過言ではありません)や、アッサムで淹れたミルクティーのコクのあるどっしりとした美味しさもまた、他では代えがたい魅力があると思います。紅茶を飲むすべての方に、やはり一度は味わっていただきたい飲み方ですね。
可能であれば、この4種類をすべてメニューに入れておけると最強だと思います。

  ストレート ミルク 砂糖 レモン
ダージリン
セイロンティー
アッサム


※茶葉の量や
蒸らし時間を
調整

アールグレイ 茶葉による

定番の紅茶だけでなく、もう少しメニューに本格的な紅茶を加えたい場合は、以下の種類を選ぶのもよいかもしれません。

祁門紅茶

キーマン、又はキーモンとも発音されます。1915年 パナマ万博で金賞を獲得しており、実は世界3大紅茶の、知る人ぞ知る紅茶です。スモーキーフレーバーと呼ばれる落ち着いた大人の風味で、渋みも少なく意外と飲みやすいのが特徴です。

ニルギリ

インドの紅茶でダージリン、アッサムに並ぶ産地ですが、こちらと比較するとマニア向けです。ダージリンよりもオールマイティーに使えて、アッサムよりも風味が良いイメージの紅茶です。

ウバ

スリランカの風味の強い紅茶。強いといっても普通の紅茶と違って、少しメンソール系の方向の香りがします。こちらも世界三大紅茶の内の一つでなかなか高級な紅茶です。ミルクティーも人気があります。コクはアッサムなどと比べて少ないのですが、香りを楽しむことができます。(余談ですが、ジンジャークッキー食べる時に一緒に飲むのがオススメです。)

さらに、あまり他では見ない紅茶や、ユニークな変わった紅茶を置いてみたい場合は、以下の種類などは珍しく、面白いのではないかと思います。

国産紅茶

その名のとおり、日本で作られた紅茶です。比較的酸味のある風味が特徴です。いろいろなタイプの国産紅茶がありますが、インド、スリランカ、中国の風味とはまた一味違った味わいです。あまりミルクティーには向かないものが多いです。国産の紅茶というだけで興味を持つ方も多いですし、和風のカフェなどでも自然にメニューに置くことができます。

ラプサン・スーチョン

初めて飲む人はみんなびっくりする紅茶です。あまりにも香りが強いのです。枝を燻した煙で香りをつけています。時々すごく好きな人がいらっしゃいます。ストレートで飲む人が多いというイメージですが、名探偵ポワロなどで有名なミステリー作家のイギリス人、アガサクリスティーさんが、こちらをミルクティーで飲むのが日課だったという逸話もあります。

台湾の紅茶

甘みがあり渋みが少ないのが特徴です。中国茶や台湾茶は香りが良くて渋みが少ないものを良いお茶とする傾向があります。ですので台湾の紅茶も、葉が大ぶりで甘い香り、そして渋みが少ない甘い味が特徴です。こちらはストレートで飲むのがおすすめです。

今回は飲食店様、主にカフェ様において、外さないメニューの紅茶選びのポイントについてお話させていただきました。
総括しますと、やはり最大の一番の解決策は「多めの種類をメニューに取り入れること」
しかし、あまり沢山の種類のお茶を置けないという場合は、

などが、定番かつ、ミルクやレモン、砂糖などさまざまな飲み方にオールマイティに対応できますので、おすすめです。
ストレート推奨となりますが、プラスでここにダージリンを更に追加できれば、尚良いと思います。

基本的なポイントだけ守れば、あとは意外と自由にいろいろなお茶をメニューに入れて良いと思います。
まずはいくつかの種類を揃えておいて、お店を営業していく中で、いらしていただくお客様の層や嗜好に合わせて柔軟にメニューを変化させていくのが理想的な形ではないでしょうか。

やはり最大の一番の解決策は多めにメニューに取り入れることですが、それが難しい場合には、是非今回の記事であげているポイントを参考になさってください。

次回はハーブティーについて書ければと思っています。

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