【お茶のプロ直伝】ジャスミン茶の特徴と美味しいいれ方!インスタ映えする見せ方も 紹介【飲食店スタッフ必見】
みんなが名前を知っているジャスミン茶。
有名ではあるけれど、実は意外と知らない事も多いんです。
- ジャスミン茶とはどういうお茶か?
- 具体的にどんな種類があるの?
- 美味しい淹れ方は?
今さら聞けないジャスミン茶についての、プロ視点での解説です。紅茶に携わって20年超え、お茶の卸業者をしている私がお伝えします!
これでお客様に聞かれても大丈夫!?初心者にもわかりやすいように解説したので、ぜひご覧ください!
ジャスミン茶とは?概要と特徴をサクッと解説
皆さんはジャスミン茶という名前を聞いてどのようなものを想像するのでしょうか?最近はコンビニでも売っているので、飲んだことがない人は少なくなったと思います。
香港の「飲茶」(お茶を飲みながらシュウマイや春巻き、餃子などを食べること)のお茶に使われたり、中華料理屋さんの無料お茶として出したりしていることも多いですよね。食前、食事中、食後、ティータイム等どんな状況にでも似合うお茶です。
一口に「ジャスミン茶」とは言っても、実はいろいろな種類があります。
これをみればジャスミン茶に詳しくなれると思いますので、まずは概要を確認してみましょう。
ジャスミン茶の製法
一般にジャスミン茶とは、緑茶にジャスミンの花で香りをつけたものです。ジャスミンの葉っぱを使ったものではないんですよ!
具体的には以下のように作っています。
・まず緑茶を作成します。
緑茶の作り方は、日本とは違って蒸さずに炒る製法なんですよ。
それにより、香りを活かした緑茶を作ることが可能です。
・そしてその緑茶にジャスミンの花で香りをつけます。
香りをつけるとはどういう事か、を簡単にご説明しますね。
- 並べた緑茶に生のジャスミンの花を大量に載せ、しばらく待ちます。
- そして香りが緑茶についたあと、花を取り除きます。
- この工程を何回か繰り返して出来上がりです。
良いジャスミン茶の特徴
上質なジャスミン茶とは、大きく分けて以下の2つにかかっています。
- 上質な原料茶を使用。
- ジャスミンの花をつける回数が多め。
それだけ?と思う方もいるかもしれません。もちろん細かくいうと作成している工場や保管状態もありますが、ここでは割愛します。
上質な原材料
まず上質な原料茶についてですが、原料のお茶は、緑茶を使います。上質な緑茶とは何をさすのかもご説明致しますね。
ここは結構重要で、全てのお茶にある程度あてはまります。大きく分けるとポイントは4つです。
- 葉っぱを使う
- 小さめの葉を使う
- 丁寧な積み方をしている
- 丁寧に製茶している
葉っぱを使うのはあたりまえでは??と思う方、そうですよね。普通そう思います。でも茎だけしかなかったり、あえて茎だけをつかったりするお茶もあるんですよ。
また、葉は小さい方が上質と言われます。これは正確にいいますと、出たばかりの芽の事をさします。大きい葉を刻んだものは違うんですね。芽の葉は、渋みと雑味が少なく口当たりが良いのです。そして白い産毛が多く、花の香りも着きやすいです。
さらに、摘み方も大切です。いわゆる一芯二葉や一芯一葉の摘み方のものが上質とされます。もちろん機械摘みやハサミを使ったものより、手摘みの方が正確ですね。摘む人の腕にもよりますが。
もちろん、殺青~乾燥までの工程をきちんと丁寧にする必要があります。
ここまで説明しましたが、条件を完璧に満たさないから悪いというわけではありません。たとえば、茎がついているのが悪いということではないです。良い上質の葉がありつつ茎が付いているのはそんなに悪くないと思っています。
あくまで、一般的な条件としてご理解ください。
花で香りを付ける回数
もちろんみなさんご想像の通り、ジャスミンの花の香りを緑茶に付けます。その方法は、まず緑茶を作った後に(途中ではなく)、ジャスミンの花をを大量に緑茶にくっつけて、直接香りをお茶へ移します。
ジャスミンの花は、生の花だけを使うので贅沢に感じますね。
その後花を取り除いて、出来上がりです。
これで何となくイメージできたと思いますが、いかがでしょうか。そしてその工程を何回か繰り返します。
ジャスミンの花の香りをつける回数ですが、以前は最大7回までつけていました。
(最近はとにかく回数を多くしたいという人がいて、8回以上もありますが、多すぎても意味がない可能性があります。)
花だけのジャスミン茶とは?
ジャスミン茶に時々白い花が混じっているのを見たことがある人はいますか?
あれはジャスミンの花です。かわいいですよね。
そこでこう考える人がいます。
「香りだけほしい場合は、花だけあればよいのでは?」
そこで ジャスミンの花だけでお茶を飲んでみると、びっくりされると思います。ぜんぜん良い香りがしないのですよ。
香りが弱いとか少し変化している、というレベルではなく、穀物のような香りで雑味がある感じの味のお茶になっています。
では、なぜジャスミン茶にはジャスミンの花が混じっているのかを疑問に思う方もいるでしょう。あれは、製造時に取り除き損ねたものです。あえていれてあるものもあるそうですが、少しにしないと上記のような事から風味が逆に悪くなってしまうので、注意が必要です。
ちなみに、上質なお茶にはあまり花は混じっていません。
ジャスミン茶の種類と特徴
一口にジャスミン茶といっても作り方によっていろいろ種類がありますので、いくつか種類をご説明します。
通常の茉莉花茶
いわゆるジャスミン茶。茉莉花茶です。2~3mmくらいの粉茶から、1cmくらいの葉のものまであります。
お茶の味がしっかり出ているものが多いです。香りは、そのお茶によりけりですが、粉茶よりも大きい葉の方の香りが強い事が多いです。
価格もリーズナブルで、とても広く普及しているタイプですので、質に多少幅があります。
ですので、このタイプでまあまあ良いタイプにあたることもありますよ。
茉莉龍珠
パチンコ玉より1~2まわり小さい球型をしているジャスミン茶です。他に、ジャスミン龍玉、白龍玉、ドラゴンボール等といわれていることも。
3~4mmくらいから5mmくらいまでのものがあり、色も暗い緑だけのものや白い線が入っているものもあります。
小さい方が芽に近い事が多いため、また白い線は産毛の白さです。
小さくて、白い線が混じっているものは上質なお茶の可能性がありますね。茎が入っているのは悪くはないのですが、茎だけのものは質が良くないイメージを与えます。
一般にジャスミンの花をつける回数も多いですね。風味については、渋みが少なく喉ごしがよく、上質で強い香りです。
工芸茶タイプ
工芸茶とは親指くらいの大きさで、お茶が糸でまとめられているものです。ものによっては、中に花が隠されていますよ。
すべてがジャスミンの香りがついているわけではありません。
こちらのタイプは、ジャスミン茶製造方法上、表面にしか香りをつける事ができないのと、そもそも基本見た目重視なこともあってそれほどジャスミン茶としての完成度や美味しさを求めているものではありません。
超上質なタイプ
超上質なタイプにはいろいろな形があります。
1つの細長い1~2cmくらいのまっすぐな形や、リング状になっているもの。凝ったものになると、結んで蝶のような形に見えるものもあります。
もともと小さい芽なのに、その形を作るのはとても丁寧で手間のかかる作業ですよね。
そのお茶は小さな芽です。乾燥している茶葉では分かりづらいのですが、抽出後、水分を吸って広がった茶葉をみると一目瞭然です。
小さくてきれいな形の茶葉を見ることができるでしょう。
そしてもちろん上品で強い香りです。
のどごしはとろっとするような厚みのあるマイルドさで、引っ掛かりや雑味はありません。10年以上たっても、そのへんの少し風味がよいジャスミン等は敵わない美味しさです。
【例外】香料タイプ
香料はよくタピオカミルクティーなどに使われることもおおいのですが、最大の弱点は、香りが全然違う という事につきます。
その香りの良し悪しについては、好みの問題がありますので言及しませんが、あまりに違います。
ぜんぜん別の名前をつけるなら良いのですが。100歩譲って、ジャスミン風フレーバーという記載が欲しいところです。
ジャスミン茶を飲みたい人にとっては、ひどい結果がまっています。
通常アップルティーやアールグレイなどの香りをつけているお茶は、香料(主に液体)をつかって香りつけをします。(天然ではない化学香料がほとんどです)
【備考】さんぴん茶
こちらは、沖縄でよく見るお茶なのですが、ジャスミン茶のことです。情報も結構ありますので、皆さん知っている人も多いかもしれません。
ときどき、ジャスミン茶よりさんぴん茶と少し風味づけが違うといった意見もありますが、それは定義がおかしくなっています。
さんぴん茶=ジャスミン茶なので、さんぴん茶の風味がどうあろうが、「このジャスミン茶は風味が強い」、「このジャスミン茶はマイルド」と同じ意味なのです。
【基本をチェック】ジャスミン茶の美味しい淹れ方
ジャスミン茶のいれ方のポイントですが、基本紅茶等と同じです。
蒸らし時間に関してだけ、そのお茶の質によって少し変わるので、そちらもご説明致します。
ジャスミン茶のいれ方に関しての重要ポイントは4つです。
- 熱いお湯を使う。
- 分量を間違えない。
- 湯量をまちがえない。
- しっかり蒸らす。
これは美味しい紅茶のいれ方とほぼ同じです。
1. 熱いお湯を使う。
沸騰したお湯、またはお湯のサーバーやエスプレッソマシーンで90度くらいになっている熱湯をつかいます。
2. 分量を間違えない。
分量は、1杯分2~3gを目安にします。
量を少し間違ってしまったときは、蒸らし時間ではなく湯量で調整しましょう。
3. 湯量をまちがえない。
湯量は 150cc~180ccを1杯分と仮定します。
4. しっかり蒸らす。
蒸らし時間は、細かい茶葉(1~3mm)や通常のレベルのお茶(約1cm)であれば、2分くらいまでを目安にして下さい。
それより長くなると、渋みやいがみが出てくる場合があるのです。上質なお茶では、3分以上くらいをおすすめします。
最悪茶葉を入れっぱなしにしても渋みが出てこないので、そもまま飲む方もいるくらいです。もちろん可能なら、途中できちんと茶葉を取り出して下さい。
他のお茶に関しても同じですが、あまり神経質にならなくても、お茶が自分で勝手に美味しくでてくれるので気楽に淹れましょう。
もちろん、気合を入れてお茶をいれるのも良いとおもいます。ポットやカップを事前に温めてより美味しく提供しましょう。
ジャスミン茶の美味しい飲み方
ジャスミン茶も紅茶のように色々なバリエーションで飲む事ができますが、特徴的な香りが売りのお茶なので注意が必要です。
弊社が試してみた飲み方を共有します。参考にしてみて下さい!
もしほかに良いアレンジを見つけたら、是非教えて頂けると嬉しいです。
ストレート
ジャスミン茶のおすすめの飲み方ナンバーワンです。やはりジャスミンの花の華やかな香りと緑茶のコラボレーションを一番良く感じられる飲み方ですね。
ミルク
ジャスミンミルクティーという飲み物をコンビニなどで見た事がある人も多いと思います。
ですがジャスミンミルクティー、実は作るのがとてもむずかしいんですよ。なぜならジャスミン茶の性質上緑茶をつかっているので、味がミルクに負けてしまうのです。
また香りも弱い場合、それもミルクに負けてしまいます。
いままで実験した中で良かった方法は、2つです。
1,香りの強いジャスミン茶を使う。
これは味は諦めて香りをメインにすえ、ジャスミンの香りがきちんと感じられる事を主眼にする方法です。
2,香りの強いジャスミン茶を使い、更に香りはあまり強くないけれど(ジャスミンの香りを邪魔しない程度)コクのある紅茶、例えばアッサム等を少量混ぜる方法です。
このツギハギな方法は力技ではありますが、それぞれの弱点を補っている形になります。
フルーツティー
フルーツを中に入れるのは今ひとつでした。風味が喧嘩してしまいます。ですが香りがあまり強くなく、甘みがある中国の乾燥果物の「龍眼」や「なつめ」等は合うと思います。(フルーツジュースで割るのは試していないのでわかりませんが、合うかも知れませんので今後試してみたいです。)
アイスティー
アイスティーにはとても向いていて、おすすめです。
食事にもあうので、季節やシチュエーションを選ばずに飲むことができます。
熱湯で蒸らして後で、氷を使うオーソドックスなアイスティーをいれる方法もよいですし、水に入れて60分くらい置いておく「水出し」の方法も楽で美味しいのでお試し下さい。
ジャスミン茶の提供方法【おしゃれな見せ方も紹介】
香りに特徴があるジャスミン茶。せっかくなので見せ方も工夫したいところです。ここでは、3つの見せ方を紹介します。
- ティーポット
- マグカップ
- その他の工夫
特に龍珠タイプや工芸茶タイプは見栄えが良いので、後述の方法を参考に是非ひと手間かけてあげて下さい。
みなさんの想像力でいろいろな見栄えのする提供の仕方が生まれるはずです。
ティーポット
ティーポットは定番です。量があっていれば、陶器、磁器、ステンレス、特に問題ないでしょう。
ただもし可能ならば、ガラスのポットがおすすめです。少しだけ茶葉に混じっているお花が可愛く見えますので。
*鉄瓶に関しては、少し風味が弱くなってしまうことがあります。
マグカップ
マグカップの使用は、飲みやすいのでよく使われます。
注意したいところは、茶こしの「ある」「無し」と、茶葉の質です。普通の茶葉ですと、お湯につけっぱなしになると渋みや雑味がでてくるので、茶こし付きのマグカップを使って下さい。
上質なタイプの場合は、つけっぱなしでも渋くならないので、茶こしに関しは、どちらでもよいです。
ここで一つポイントです。
茶こしがない場合は、どうやって飲むのか??
これは、中国の人もそうなのですが、熱湯を入れて茶葉が水を吸って重くなり容器の下に沈んだころに飲み始めます。(そのくらいがちょうど飲み頃です。)
その他
注意が必要なのは、工芸茶です。
もちろん見た目が一番重要なお茶なので、ガラスタイプがよいです。
こちらはできるだけ丸い形のティーポットが必須。あまり底のほうが狭いと葉が開かないのです。
下側が丸くふくらみがあって、上部が少し狭くなっている大きめのワイングラスのような形でも大丈夫です。
(そこが狭くなってなければOK)
ワイングラスといえば、耐熱タイプのワイングラスに入れて提供しているお店もありました。とても見栄えがよかったです。
美味しいいれ方でジャスミン茶を楽しみましょう
ジャスミン茶と一口にいっても、沢山の種類があることを知ってもらえたかと思います。
最近では花が高騰しているので、中国国内のジャスミンの花はあまり使えずベトナムなどから輸入しているようです。
それでも少しずつ高くなっています。
よいジャスミン茶を飲んでいると少し弊害もあります。
あまり質のよくないジャスミン茶を飲んでも、ジャスミンの香りをあまり感じなくなってしまうのです。ペットボトルのジャスミン茶など論外になってしまいますね。
お気に入りのジャスミン茶をみつけてみるのも面白いですよ。
でも日本ではあまり上質なジャスミンをみる機会はないように思います。意外と中国料理店でも少ないです。
カフェやレストラン等で上質なジャスミン茶を見つけたら、とてもラッキーだと思いますので即注文してください! 笑