【お茶販売のプロが考察】カフェが儲からない3つの理由。
「自分のカフェを作る!」
素晴らしい夢だと思います。
ほかにはない個性やこだわりが詰まったカフェが誕生することは、お茶好きとしてもとても喜ばしいことです。
しかし、カフェを立ち上げるところまでは計画通りにいけても、その後の経営がなかなか続かないことが多いことは、皆さんもご存じではないかと思います。
これはカフェだけに限った話ではありませんが、飲食業界は一般的に「開店から3年以内に7割が廃業してしまう」(!)と言われるほど、たいへん厳しい現実があります。
なぜ情熱とやる気があるのに、カフェの経営を長続きさせることがこんなに難しいのでしょうか?
今回の記事では「カフェが儲からない3つの理由」について、お茶販売のプロの目線から考察していきたいと思います。
目次
1. 現状
2. よくある間違い
3. こうするべき
4. でも情熱が一番大事
5. せっかくの素敵な夢なので少しプラスして考えてみましょう!
1.現状
冒頭でも触れましたが、現状、個人経営のカフェはオープンしても数年以内に結構な確率でなくなっています。
味は美味しくこだわったメニュー、接客も丁寧、価格もちょうどよい、内装も素敵。
なのにバタバタ潰れているのが現状です。
不思議ですよね。
ではどうすればよいのでしょうか?
2.よくある間違い
「もっとお店に来てもらおう!」と考えた時に、誰でもまず考えることが「サービスの質を上げる」または「価格を安くする」ような施策ではないでしょうか。
たとえば、「もっと味にこだわる」「もっと丁寧な接客」「メニューの値段を安くする」などです。
しかし、これらを改善したところで、おそらくそれでもほとんど売上は変わらないかと思います。
カフェを開業する人は飲食店が好きで、人に喜んでもらうのが好きで、しかも働き者の感じが良い人が多いと思っています。実際弊社と取引して頂いているお店は良い人ばかりです。
ですから私個人としても、皆に成功してほしいと心から思っています。
そこで、いくつかの間違いを検証して、一応20年会社を経営してきた見地から僭越ながらアドバイスらしきものができればと思っています。
1.こだわり
まず「こだわり」に関して。
ときどき「こだわるお店は潰れる」という風な論調もありますが、私はそんなことはないと思っています。
味にこだわる、コンセプトにこだわる、これらはカフェを開業される方にとってモチベーションのとても大事なファクターだと思いますし、飲食を楽しむお客様にとっても良いことだと思います。
私がポイントとして言いたいことは、むしろこだわる所が足りないということです。
もっと味にこだわる、接客にこだわるといった深さの方ではなく、その方向性についてです。
たとえば、開業する前にカフェをしっかり作って継続して運営する といったこだわり。
たとえば、平日と週末、朝・昼・夕方・夜、雨の日、のお店の前の道の通行量の調査をするこだわり。
スタッフ教育をしっかりやるためのマニュアルをつくるこだわり。
時間や集中力を使うわりには生産性には貢献しない業務を自動化や外注化し、自分及びスタッフさんには集客や接客、メニューについてのアイデア、業務改善のアイデアを出してもらうように組織を組み立てるこだわり。
または、空いた時間を普通に休憩時間にあてるのも良いですね。
売上を上げて利益をあげることによってスタッフに還元しようとするこだわり。
お客様のために新しいメニューを開発したり、もっと早くお客様に料理を出そうとするこだわり。
費用対効果のよい集客をしようとするこだわり、などなど。
いかがでしょうか。
真剣にお客様とスタッフさんのことを考えている経営者の方であれば、このような「こだわるべき」ポイントは、改めて考えてみればいくらでも出てくるのではないでしょうか。
しかも、このような部分はこだわればこだわるほど良いものですので、どんどんその「こだわり」を増やしていってもらえればと思います。
2.価格
次に「価格」に関しては、しっかりのお店が運営できる価格にするべきです。
メニュー単価などを適正な価格より下げると、お店が継続できなかったり、お店(ひいてはお客様のためになる)の投資ができなくなったりするので、結局長い目で見た時に誰の為にもなりません。
価格を安くするために今人気の料理の味を落とすような形にして、安くなったけれど美味しくなくなる・・・というのでは、元も子もありませんよね。
3.丁寧な接客
「丁寧な接客」に関しては、スタッフさんの接客する部分を増やしすぎずに工夫した上で、お客様に喜んでもらう部分になるべくリソースを向けられればいいですね。
スタッフの方のコミュニケーション能力に依存してしまうと、どうしても再現性が低くなりますし、スタッフさんの負担も大きくなってしまいます。
例えば、セットメニューの表記が分かりづらい場合でしたら、そこを分かりやすくするだけで、これまで余分な説明に割かれていた時間がカットできます。
スタッフさんにもそのぶん余裕が生まれるので、どうしても説明が必要な事柄にだけ集中して丁寧に接客ができるので、お店のこだわりの情報をお客様に直接伝える時間を、よりしっかりと取ることができます。
もっと単純に時間的余裕ができれば、混んでいる時にお客様を待たせることが少なくなるメリットもありますね。
3.こうするべき
結論として、カフェ経営をするにあたって、このようなことを頑張るべきです。
・事前の調査を面倒くさがらずにやる
お店は一度始めたら簡単に場所を移動できないので、事前の調査はすごく大事です。
・経営計画を立てる
経営計画を立てる。及び経営の勉強をする。し続ける。(もしオープンが決まっていて時間がなくて出来ないときは、オープン後ずっとやる。)← 1番大事!
・効率化の徹底
作業的な事は極力なくすか自動化、外注化、最悪でもマニュアルを作成。
・集客する工夫と努力
とにかく集客を頑張り、来てくれているお客様を観察したり話を聞いたりしてどんどん改善する。
なにかかっこいいことや社会的意義、みんなに話した時に気持ちいいことを言いたいのは分かるけれど、とにかく続けていくことを最大のポイントにするべきです。
やりたいことが出来ないから辞めるとかはとても簡単なこと。これは誰にでもできる。ただの言い訳です。
まずは10年続けてから言ってほしいですね。(もちろん黒字で、です)
赤字の事業をやるくらいなら、趣味でやるかボランティアでやるかにした方がよいでしょう。
厳しいことを言うようですが、現実はもっと厳しいです。
利益を出すことを最重要に考えて頑張っても、黒字にできないものなのです。
4.でも情熱が一番大事
ここまでいろいろとカフェ経営についての現実をお話をしてきました。
「やっぱり、理想と現実は違うのか」「自分の夢見たようなカフェの実現は難しいのかな…」と、考えてしまった方もいるかもしれませんね。
とはいえ、大前提としてやりたくないことをやって生活をするなら自分でやる必要はないですし、モチベーションも続かないです。
理想や情熱を持つことはとても良いことですし、重要なことです。
つらい時期に頑張れたりする原動力になったりもしますね。
葉楽としては、むしろそういった方々を応援したいからこそ、あえて厳しい意見も交えながら今回の記事を書いております。良質なカフェや飲食店はもっともっと増えていってほしいし、数年でつぶれてしまうのはあまりにもったいない!という強い思いからです。
5.せっかくの素敵な夢なので少しプラスして考えてみましょう!
そこで提案として、目標を少し変えてみるのはいかがでしょうか?
「素敵な自分のカフェをつくる」だけで終わらせるのではなく、「素敵な自分のカフェでみなさんと自分を楽しませ続けるために潰さないで運営する」ところまでを目標に見据えた計画をしていくこと。サステナブル(持続可能)な経営を目指していけば、自ずとひとつひとつの判断の質も変わってくると思います。
情熱があって、頑張っても3年で廃業する人は多いですし、続けていても赤字続きだと報われません。
めちゃくちゃ頑張るのは当たり前。さらに頭を使い常に改善し、最後に運の要素も加わればうまくいきます。
その他に勉強しましょう。そしていろいろ改善したり試してみたりしてください。
その上であなたには、情熱や想い、個人的なオリジナリティーやアイデアもあるので、うまくいく可能性が飛躍的に高まります。
せっかくの夢なので、なるべくうまくいくやり方で正しくがんばりましょう。
そしてうまくいったら、ぜひ可能な部分だけでも同業者さんに教えてあげてください。
みんなで飲食を盛り上げていけると楽しいですね。
成功を心からお祈りしております。