【プロが解説】紅茶を飲むときの正しいマナーとカップの美しい持ち方とは
「紅茶を上品に飲むために、マナーをおさえておきたい」
「所作を美しくティータイムを楽しみたい」
せっかくの紅茶を楽しむために、正しいマナーを知りたいという方もいるのではないでしょうか?
紅茶の卸を営む弊社としては、「紅茶を気軽に楽しんでほしい」と思っているので、普段はうるさく「マナー」を口にすることはありません。細かいルールを気にして紅茶の味がわからなくなるくらいなら、もっと気軽に楽しんで飲んでほしいと考えています。
とはいえ、特別な日のティータイムを楽しむために「正しいマナー」も知っておいて損はありません。そこで、紅茶のマナーについてこの記事では以下の内容を解説します。
- 紅茶を飲む基本マナー
- 美しいカップの持ち方
- マナー違反の行動
これらのルールを押さえれば、優雅なティータイムの雰囲気をより楽しめるはずです。特別な日のために、ぜひチェックしてみてください!
紅茶を飲むときの基本的なマナー
紅茶を飲むとなるとなんとなく構えてしまうのは紅茶のもつ高貴なイメージのせいかもしれません。男性でも女性でもエレガントに紅茶を楽しんでいる様子は、まるで英国のドラマのワンシーンのよう。
そんな飲み方をしたい方のために、紅茶を飲むときの基本的なマナーを4つ紹介します。
- カップの取っ手は右側にする
- 一口目は何も入れない
- スプーンはカップの向こう側に置く
- 砂糖を入れるなら控えめにする
正式なマナーを知っておけば、きちんとした場に招かれたときにもサマになる行動が取れますね。
ただ、繰り返しになりますが、普段は気を張らずに自分が美味しいと感じる飲み方で楽しんでください。完璧でなくてもいいのです。
1. カップの取っ手はいつも右側に来るようにする
一般的に、カップは取っ手が右側にくるようにテーブルに置かれます。カップの正面は取っ手が右に来た位置。向きを変えないようにしましょう。
ただし、英国の伝統的なカフェなどでは、取っ手が左側になるようにサーブされることがあります。これは、砂糖やミルクを入れることを想定し、スプーンを取る時に取っ手が邪魔にならないためです。
取っ手が左側にある時は反時計まわりに、つまり取っ手を自分の側を通るようにぐるっと回して右側に持ってきます。
2. まずはなにも入れずに紅茶の味と香りを楽しんで
どんなマナーより大切なのは「最初のひと口をなにも考えずに味わうこと」です。準備した人は、お客様に楽しんでもらうためにその日の料理やデザート、お天気なども考えて紅茶を決めているものです。
出された紅茶の、まずは色を見てください。水色は薄いですか?濃い赤ですか?
色を楽しんだら、静かにカップを持ち上げて香りを楽しみ、まずはひと口、何も考えずに飲んでみましょう。
3. スプーンはカップの向こう側に置く
サーブされるとき、スプーンはカップの手前におかれています。砂糖とミルクを入れて軽く混ぜたら、スプーンはカップの向こう側におきましょう。
カップの手前におくと、カップをソーサーに戻すたびにスプーンにぶつかってカチャカチャ音がするからです。とにかく音を立てないで飲むのがエレガント。使用したスプーンをテーブルの上に、じかに置いたりしてはいけません。ソーサーの上、カップより奥にスプーンを置きましょう。
ちなみに、砂糖やミルクを入れてスプーンでかき混ぜる間、左手をカップの取っ手にそっと添えて支えるようにすると、よりスマートに見えますよ!
4. 砂糖を入れるなら控えめに
砂糖は控えめに入れましょう。
せっかくの紅茶の香りがだいなしになるほど、大量のお砂糖を入れるのは野暮です。普段は好きな味に調整すればよいですが、マナーを意識したいなら「ちょっと足りなかったかな?」と思うぐらいにとどめましょう。
「甘いめの紅茶が飲みたい」という方は一度にどっさりと入れるのではなく、数回に分けて入れるようにしましょう。ポイントは「エレガントであること」です。
砂糖をお茶に投入するときはそっと静かに入れます。まわりに紅茶を飛び散らせたりしないように注意してください。
美しいカップの持ち方とエレガントな飲み方
基本のマナーをおさえたら、次はカップの持ち方と紅茶を飲むときの所作を学びましょう。ポイントは5つ。
- ティーカップの取っ手はつまむ
- カップは右手で持つ
- ティーポットは片手で扱う
- ソーサーを持つかどうかはテーブルの位置に合わせる
- 姿勢良く飲む
こちらも順番に、一つずつマナーを学んでいきましょう。
1. ティーカップの取っ手はつまむのが正解
アンティークカップなどは取っ手が小さくて「どうやって指を入れるんだろう?」と思うようなものがあります。初めから指を入れることを想定していないのです。
取っ手を持つ時は親指と人差し指で持ち、他の指は揃えるようにしてカップに添えるととてもエレガントに見えます。
マグカップの取っ手は大きく作ってありますが、これはマグカップが大きくて比較的重いこと、またたっぷりと飲み物を入れるため、か細い取っ手では支えきれないためです。
ティーカップはほとんどが薄い陶器で作られていて軽く、紅茶もそんなにたくさん入れるものではありません。あくまでも優雅に飲むことが目的なので、取っ手は小さくてもいいのです。
2. カップは右手で持つのが正式なマナー
ティーカップを持つ手は右手、というのが正式なマナーとされています。これは日本のお箸のマナーと同じくほとんどの人が右利きであるため、食事の時に隣の人と手や腕がぶつからないようにするためです。
現代においては左利きの人に右利きの人と同じことを強制するのは差別的とする考え方もあり、必ずしも右手でカップを持たなければならないということはないようです。
ですが、格式高いレストランやカフェなどではやはり右利きの人を基準にセッティングされていることが多いため、カップを持つ時だけ右で持つ、という方もいらっしゃいます。
ただし、無理に利き手でない方の手で熱いカップを持つ必要はありません。バランスが取れずに落として大切なカップを割ってしまったり、やけどしたりしては興ざめです。
あらかじめ自分が左利きであることを伝えておくと、席順を考えてくれたり左利き用にセッティングしてくれるところも増えているようなので安心してくださいね。
3. ティーポットは片手で扱う
日本人はついポットを持つと蓋に空いている手を蓋に添えて押さえてしまいがちですが、紅茶のポットは本来片手で扱うことがマナーとされています。
紅茶のポットの蓋には、傾けた時にも蓋が外れて落ちないように爪があります。押さえていなくても蓋が転げ落ちることはありませんので大丈夫です。
格式高いお店では、スタッフが紅茶をポットからついでくれますから、無理に自分でやろうとしなくても大丈夫です。
4. ソーサーはテーブルの高さによって持つか置くかが決まる
ときどき、ソーサーごと持ち上げて飲んでいる人がいます。これはシーンによってはマナー違反になるので注意しましょう。
【座って飲むとき】
お食事のあとで出てくるお茶のときなど、ダイニングテーブルのようなハイタイプのテーブルの時はソーサーはテーブルの上に置いたままです。カップだけ持って飲みましょう。
【立って飲むとき】
立食パーティーなど、テーブルが腰より低い位置にある場合はソーサーを左手に持ち、右手でカップを持って飲みます。ソーサーは胸のあたりに持ち、カップだけ口元に運ぶようにします。
5. 猫背にならないよう、姿勢よく飲む
カップを自分の口の高さまで持ち上げてから飲み始めます。自分のほうからカップに口を近づけるのはマナー違反です。マナーというのは「美しく見えること」「他人に不快感を与えないこと」です。
猫背で背中をかがめて飲んでいる姿はエレガントではありません。きちんとした場でそのようなふるまいは、ホストに恥をかかせることになります。
美しく飲むために、姿勢よく、背筋を伸ばしていただきましょう。
正しいマナーについてはだいぶお判りいただいたでしょう。では今度は、わたしたちが普段、それと知らずにしてしまっているかもしれない「マナー違反」についても知っておきましょう。
カップを両手で持つことは「ぬるいです」のサイン
カップを両手で包むように持って飲む仕草。これは普段やりがちなことですが、紅茶のマナーとしては大減点です。
カップを包んで持つというのは「この紅茶、ぬるいです」という暗黙のクレームをホストに対してしていることになるからです。
紅茶は熱いものを提供するのがホストのマナーです。せっかく熱々の紅茶を提供してくださったホストに対して失礼のないようにしましょう。
レモンを入れたまま飲むのはNG
これもよく見られる光景です。レモンティーをお願いすると、レモンの輪切りが添えられます。カップにレモンを入れ、熱い紅茶を注ぐとすぐにレモンからジュースが染み出します。
そのまま入れておくと苦味が出てくるので、レモンは紅茶をカップに入れたらすぐに引き上げ、ソーサーかレモンが入っていた器に出しておきましょう。
ティーバッグや茶葉をポットから出すのはダメ
ティーポットで提供された紅茶。当然ながら時間の経過とともにどんどん濃くなっていきます。そのままで飲んだら渋いですよね。そんな時、いいところで茶葉を出してしまいたいと思うかもしれません。
ティーバッグで提供されているならそっと出して別の器に入れておいてもいいかもしれませんね。でも、ソーサーの端に置いておくとティーパックから染み出した紅茶がお皿の底にたまり、カップの底がびちゃびちゃに。
そのカップを持ち上げれば必ずしずくが落ちます。白いテーブルクロスに紅茶のシミは目立つものです。そして、紅茶のシミは洗濯しても落ちません。ティーバッグと一緒に出てくる受け皿にそっと置いておきましょう。
イギリスでは濃くなった紅茶にお湯を継ぎ足して飲む習慣があります。お茶が濃くなってしまった時は遠慮なく「お湯をください」と言っていいんです。その方がとてもスマートですし、エレガントです。
食べ物をつまんだ手でカップを持つと汚れる
「ヌン活」という言葉を聞いたことがありますか?「アフタヌーンティーを楽しむ活動」の略なんだそうです。
日本でも最近、アフタヌーンティーを楽しむ方が増え、あちらこちらのホテルやレストランでアフタヌーンティーが提供され、イベントが開かれています。アフタヌーンティとは、直訳すれば「午後のお茶」ですね。
昔、イギリスの上流階級の女性は観劇などが終わったあとの9時頃から夕食を取ることが多かったため、夕方の小腹がすく4時~5時ぐらいにサンドウィッチやスコーンなどとともに紅茶を飲む習慣がありました。
現代ではその習慣はなくなり、言葉だけが残っています。ホテルやレストランなどで「ケーキスタンド」と呼ばれる、一般的に3段になったかごに盛られた軽食が提供されます。
アフタヌーンティーの本場では、一番下にはキュウリのサンドウィッチ、その上にケーキ、一番上にクリーム添えのスコーンなど、上に行くほど重いものが並びます。
正式には、下から順番にいただくのが決まりです。ここで思い出してください。紅茶をいただく際、紅茶は右手で飲むのがマナーでしたね。おのずと食べるのは左手、ということになります。
食べ物をつまんだ手でカップを触るのはマナー違反です。手に付いた油が、カップについたり、そのために手を滑らせてカップを割ってしまったりというようなことがないためです。
紅茶と一緒にいただくものを「ティーフード」といいます。ティーフードは常に左手だけで取る、と覚えておいてくださいね。
まとめ
いかがでしたか?知ってるようで知らない紅茶のマナー、あなたはいくつあったでしょうか。いろいろ言いましたが、わたしは紅茶は楽しんで飲むのが一番いい飲み方だと思います。
普段は難しいことを考えず、好きな紅茶をすきなように楽しんでください。正式な場でも、完ぺきを目指す必要はありません。でも、知っているのとまったく知らないのとではおのずと所作が違ってきます。
紅茶の飲み方に限らず、マナー(作法)はその国の文化です。なぜそうするのか、という理由がわかれば納得のいくものもあります。紅茶のマナーを通して「イギリス」という国の文化や成り立ちにまで目を向けられたら、世界はもっと広がります。
今度紅茶を飲むときは、そんなことをちょっと意識してみるのはいかがでしょうか。
【プロが解説】紅茶を飲むときの正しいマナーとカップの美しい持ち方とは
「紅茶を上品に飲むために、マナーをおさえておきたい」
「所作を美しくティータイムを楽しみたい」
せっかくの紅茶を楽しむために、正しいマナーを知りたいという方もいるのではないでしょうか?
紅茶の卸を営む弊社としては、「紅茶を気軽に楽しんでほしい」と思っているので、普段はうるさく「マナー」を口にすることはありません。細かいルールを気にして紅茶の味がわからなくなるくらいなら、もっと気軽に楽しんで飲んでほしいと考えています。
とはいえ、特別な日のティータイムを楽しむために「正しいマナー」も知っておいて損はありません。そこで、紅茶のマナーについてこの記事では以下の内容を解説します。
- 紅茶を飲む基本マナー
- 美しいカップの持ち方
- マナー違反の行動
これらのルールを押さえれば、優雅なティータイムの雰囲気をより楽しめるはずです。特別な日のために、ぜひチェックしてみてください!
紅茶を飲むときの基本的なマナー
紅茶を飲むとなるとなんとなく構えてしまうのは紅茶のもつ高貴なイメージのせいかもしれません。男性でも女性でもエレガントに紅茶を楽しんでいる様子は、まるで英国のドラマのワンシーンのよう。
そんな飲み方をしたい方のために、紅茶を飲むときの基本的なマナーを4つ紹介します。
- カップの取っ手は右側にする
- 一口目は何も入れない
- スプーンはカップの向こう側に置く
- 砂糖を入れるなら控えめにする
正式なマナーを知っておけば、きちんとした場に招かれたときにもサマになる行動が取れますね。
ただ、繰り返しになりますが、普段は気を張らずに自分が美味しいと感じる飲み方で楽しんでください。完璧でなくてもいいのです。
1. カップの取っ手はいつも右側に来るようにする
一般的に、カップは取っ手が右側にくるようにテーブルに置かれます。カップの正面は取っ手が右に来た位置。向きを変えないようにしましょう。
ただし、英国の伝統的なカフェなどでは、取っ手が左側になるようにサーブされることがあります。これは、砂糖やミルクを入れることを想定し、スプーンを取る時に取っ手が邪魔にならないためです。
取っ手が左側にある時は反時計まわりに、つまり取っ手を自分の側を通るようにぐるっと回して右側に持ってきます。
2. まずはなにも入れずに紅茶の味と香りを楽しんで
どんなマナーより大切なのは「最初のひと口をなにも考えずに味わうこと」です。準備した人は、お客様に楽しんでもらうためにその日の料理やデザート、お天気なども考えて紅茶を決めているものです。
出された紅茶の、まずは色を見てください。水色は薄いですか?濃い赤ですか?
色を楽しんだら、静かにカップを持ち上げて香りを楽しみ、まずはひと口、何も考えずに飲んでみましょう。
3. スプーンはカップの向こう側に置く
サーブされるとき、スプーンはカップの手前におかれています。砂糖とミルクを入れて軽く混ぜたら、スプーンはカップの向こう側におきましょう。
カップの手前におくと、カップをソーサーに戻すたびにスプーンにぶつかってカチャカチャ音がするからです。とにかく音を立てないで飲むのがエレガント。使用したスプーンをテーブルの上に、じかに置いたりしてはいけません。ソーサーの上、カップより奥にスプーンを置きましょう。
ちなみに、砂糖やミルクを入れてスプーンでかき混ぜる間、左手をカップの取っ手にそっと添えて支えるようにすると、よりスマートに見えますよ!
4. 砂糖を入れるなら控えめに
砂糖は控えめに入れましょう。
せっかくの紅茶の香りがだいなしになるほど、大量のお砂糖を入れるのは野暮です。普段は好きな味に調整すればよいですが、マナーを意識したいなら「ちょっと足りなかったかな?」と思うぐらいにとどめましょう。
「甘いめの紅茶が飲みたい」という方は一度にどっさりと入れるのではなく、数回に分けて入れるようにしましょう。ポイントは「エレガントであること」です。
砂糖をお茶に投入するときはそっと静かに入れます。まわりに紅茶を飛び散らせたりしないように注意してください。
美しいカップの持ち方とエレガントな飲み方
基本のマナーをおさえたら、次はカップの持ち方と紅茶を飲むときの所作を学びましょう。ポイントは5つ。
- ティーカップの取っ手はつまむ
- カップは右手で持つ
- ティーポットは片手で扱う
- ソーサーを持つかどうかはテーブルの位置に合わせる
- 姿勢良く飲む
こちらも順番に、一つずつマナーを学んでいきましょう。
1. ティーカップの取っ手はつまむのが正解
アンティークカップなどは取っ手が小さくて「どうやって指を入れるんだろう?」と思うようなものがあります。初めから指を入れることを想定していないのです。
取っ手を持つ時は親指と人差し指で持ち、他の指は揃えるようにしてカップに添えるととてもエレガントに見えます。
マグカップの取っ手は大きく作ってありますが、これはマグカップが大きくて比較的重いこと、またたっぷりと飲み物を入れるため、か細い取っ手では支えきれないためです。
ティーカップはほとんどが薄い陶器で作られていて軽く、紅茶もそんなにたくさん入れるものではありません。あくまでも優雅に飲むことが目的なので、取っ手は小さくてもいいのです。
2. カップは右手で持つのが正式なマナー
ティーカップを持つ手は右手、というのが正式なマナーとされています。これは日本のお箸のマナーと同じくほとんどの人が右利きであるため、食事の時に隣の人と手や腕がぶつからないようにするためです。
現代においては左利きの人に右利きの人と同じことを強制するのは差別的とする考え方もあり、必ずしも右手でカップを持たなければならないということはないようです。
ですが、格式高いレストランやカフェなどではやはり右利きの人を基準にセッティングされていることが多いため、カップを持つ時だけ右で持つ、という方もいらっしゃいます。
ただし、無理に利き手でない方の手で熱いカップを持つ必要はありません。バランスが取れずに落として大切なカップを割ってしまったり、やけどしたりしては興ざめです。
あらかじめ自分が左利きであることを伝えておくと、席順を考えてくれたり左利き用にセッティングしてくれるところも増えているようなので安心してくださいね。
3. ティーポットは片手で扱う
日本人はついポットを持つと蓋に空いている手を蓋に添えて押さえてしまいがちですが、紅茶のポットは本来片手で扱うことがマナーとされています。
紅茶のポットの蓋には、傾けた時にも蓋が外れて落ちないように爪があります。押さえていなくても蓋が転げ落ちることはありませんので大丈夫です。
格式高いお店では、スタッフが紅茶をポットからついでくれますから、無理に自分でやろうとしなくても大丈夫です。
4. ソーサーはテーブルの高さによって持つか置くかが決まる
ときどき、ソーサーごと持ち上げて飲んでいる人がいます。これはシーンによってはマナー違反になるので注意しましょう。
【座って飲むとき】
お食事のあとで出てくるお茶のときなど、ダイニングテーブルのようなハイタイプのテーブルの時はソーサーはテーブルの上に置いたままです。カップだけ持って飲みましょう。
【立って飲むとき】
立食パーティーなど、テーブルが腰より低い位置にある場合はソーサーを左手に持ち、右手でカップを持って飲みます。ソーサーは胸のあたりに持ち、カップだけ口元に運ぶようにします。
5. 猫背にならないよう、姿勢よく飲む
カップを自分の口の高さまで持ち上げてから飲み始めます。自分のほうからカップに口を近づけるのはマナー違反です。マナーというのは「美しく見えること」「他人に不快感を与えないこと」です。
猫背で背中をかがめて飲んでいる姿はエレガントではありません。きちんとした場でそのようなふるまいは、ホストに恥をかかせることになります。
美しく飲むために、姿勢よく、背筋を伸ばしていただきましょう。
正しいマナーについてはだいぶお判りいただいたでしょう。では今度は、わたしたちが普段、それと知らずにしてしまっているかもしれない「マナー違反」についても知っておきましょう。
カップを両手で持つことは「ぬるいです」のサイン
カップを両手で包むように持って飲む仕草。これは普段やりがちなことですが、紅茶のマナーとしては大減点です。
カップを包んで持つというのは「この紅茶、ぬるいです」という暗黙のクレームをホストに対してしていることになるからです。
紅茶は熱いものを提供するのがホストのマナーです。せっかく熱々の紅茶を提供してくださったホストに対して失礼のないようにしましょう。
レモンを入れたまま飲むのはNG
これもよく見られる光景です。レモンティーをお願いすると、レモンの輪切りが添えられます。カップにレモンを入れ、熱い紅茶を注ぐとすぐにレモンからジュースが染み出します。
そのまま入れておくと苦味が出てくるので、レモンは紅茶をカップに入れたらすぐに引き上げ、ソーサーかレモンが入っていた器に出しておきましょう。
ティーバッグや茶葉をポットから出すのはダメ
ティーポットで提供された紅茶。当然ながら時間の経過とともにどんどん濃くなっていきます。そのままで飲んだら渋いですよね。そんな時、いいところで茶葉を出してしまいたいと思うかもしれません。
ティーバッグで提供されているならそっと出して別の器に入れておいてもいいかもしれませんね。でも、ソーサーの端に置いておくとティーパックから染み出した紅茶がお皿の底にたまり、カップの底がびちゃびちゃに。
そのカップを持ち上げれば必ずしずくが落ちます。白いテーブルクロスに紅茶のシミは目立つものです。そして、紅茶のシミは洗濯しても落ちません。ティーバッグと一緒に出てくる受け皿にそっと置いておきましょう。
イギリスでは濃くなった紅茶にお湯を継ぎ足して飲む習慣があります。お茶が濃くなってしまった時は遠慮なく「お湯をください」と言っていいんです。その方がとてもスマートですし、エレガントです。
食べ物をつまんだ手でカップを持つと汚れる
「ヌン活」という言葉を聞いたことがありますか?「アフタヌーンティーを楽しむ活動」の略なんだそうです。
日本でも最近、アフタヌーンティーを楽しむ方が増え、あちらこちらのホテルやレストランでアフタヌーンティーが提供され、イベントが開かれています。アフタヌーンティとは、直訳すれば「午後のお茶」ですね。
昔、イギリスの上流階級の女性は観劇などが終わったあとの9時頃から夕食を取ることが多かったため、夕方の小腹がすく4時~5時ぐらいにサンドウィッチやスコーンなどとともに紅茶を飲む習慣がありました。
現代ではその習慣はなくなり、言葉だけが残っています。ホテルやレストランなどで「ケーキスタンド」と呼ばれる、一般的に3段になったかごに盛られた軽食が提供されます。
アフタヌーンティーの本場では、一番下にはキュウリのサンドウィッチ、その上にケーキ、一番上にクリーム添えのスコーンなど、上に行くほど重いものが並びます。
正式には、下から順番にいただくのが決まりです。ここで思い出してください。紅茶をいただく際、紅茶は右手で飲むのがマナーでしたね。おのずと食べるのは左手、ということになります。
食べ物をつまんだ手でカップを触るのはマナー違反です。手に付いた油が、カップについたり、そのために手を滑らせてカップを割ってしまったりというようなことがないためです。
紅茶と一緒にいただくものを「ティーフード」といいます。ティーフードは常に左手だけで取る、と覚えておいてくださいね。
まとめ
いかがでしたか?知ってるようで知らない紅茶のマナー、あなたはいくつあったでしょうか。いろいろ言いましたが、わたしは紅茶は楽しんで飲むのが一番いい飲み方だと思います。
普段は難しいことを考えず、好きな紅茶をすきなように楽しんでください。正式な場でも、完ぺきを目指す必要はありません。でも、知っているのとまったく知らないのとではおのずと所作が違ってきます。
紅茶の飲み方に限らず、マナー(作法)はその国の文化です。なぜそうするのか、という理由がわかれば納得のいくものもあります。紅茶のマナーを通して「イギリス」という国の文化や成り立ちにまで目を向けられたら、世界はもっと広がります。
今度紅茶を飲むときは、そんなことをちょっと意識してみるのはいかがでしょうか。